バイクのメンテナンスやレストア中に錆びついて固着したボルトをはずす作業をしているとき、ボルト自体が折れてしまうことがあります。
そうなんだよ!回った!と思ったら、ねじ切ってしまったんだよ…。
そいう時って、非常に残念なきもちになるよね。
ポンとポコが言っているように、途中でボルトが折れたり、ねじ切れてしまった時は絶望感を感じてしまいますよね。
しかし、大丈夫です!まだ方法はあります!
ボルト自体を壊し、さらに新しくねじ山を作っていく方法があります。タッピングという作業です。本ブログをお読みになれば、「折れた残りのボルトの取り外し(壊し方)、穴の拡張、タッピングによるねじ山の再生と確認」という一連の手順が分かります。
そうなんだね!まだ、方法があるんだ。
注意が必要な点はあります。しかし、手順の全体像がつかめますよ!
図解で説明してありますので、ご自分でもチャレンジできるようしてあります。
ですので、ぜひ最後までお読みください!
錆びたボルトを外すシリーズもありますので、参考にされてください。
原因となったねじ切り事故の詳細
写真は、Ⅴmax1200のフロントホイールのディスクブレーキ部分です。ホイールとディスクを接続させている6本のボルト(赤〇)があります。その内の2本をねじ切ってしまいました。
状況を詳しく説明しますと
どのボルトも固着がひどい状況でした。そこで火炙りテクニックを使ってボルトを抜く作業をしていました。
その時に使用していたインパクトドライバーは「RYOBI ID-140」というものです。かなりのトルクがあり、固く締める場合や固着したボルトを抜く作業でよく私は使っています。
抜けた他のボルトと同様の手順で潤滑油やバーナーを使い炙っていました。そろそろいいだろうとインパクトドライバーを使い回したところでした。
「おっ!回った」と思ったのもつかの間、途中からねじ切れてしまいました。
ボルトが錆びついて固着が他のボルトよりもひどかったんだろうね。
そこに強力な回転をかけたので、ねじ切れたと思うよ。
以上のような状況で、2か所ねじ切ってしまいました。
事前準備:道具をしっかりと揃えましょう!
折れたボルトを取り外し、新たにねじ山を作っていくためには以下の道具が必要です。何が必要かをご確認ください。
- タップダイスセット(写真のようなセットになります)
- 電動ドリル
- 金属用のドリルの刃(折れたボルトのサイズにあうもの)
- ノギス
- 潤滑油
- センターポンチ
- 金づち
折れて残ったボルトを電動ドリル壊して取り去る手順
ボルトが途中でねじ切れたり折れたりすると、修理や交換が必要となります。しかし、自分でも受け手側のねじ山を再生させることもできます。
そこで今回は、私がねじ切ってしまったバイクのブレーキディスクを留めているボルトが折れた時の例を基にして以下にその手順を図を交えて説明していきます。
手順1:ねじ切れたボルトの上部分を取り去る
まず、作業のじゃまになりますので、ねじ切れた上の部分のボルトは抜き去りましょう。
手順2:残ったボルトをドリルで貫通させ壊す
次は、電動ドリルを使って残ったボルトに穴を貫通させて壊していきます。
手順2-1:ボルトの直径を確かめる
ボルトの直径を確認しておきます。そうでないと、適切な直径のドリルの刃を選べません。
ノギスを使って、正確に測ります。写真は撮影用の新品のボルトです。直径は折れたものと同じ直径7.5mmです。
手順2-2:電動ドリルでボルトを壊す
いよいよ、壊しの作業に入ります。
この作業は慎重に行ってください!
以下に注意点をまとめておきます。
私はボルトとちょうど同じ直径まで穴を広げませんでした。7mmまで穴を拡張させました。
ボルト壊し作業の注意点
- ボルトへの負荷: ボルトを壊す目的で穴を広げる場合、ボルトにかかる負荷やストレスを最小限に抑える必要があります。
徐々に穴を広げること(ボルトの直径の半分以下から徐々に穴を広げる)で、負荷を分散させ、ボルトの断裂や破損を防ぐことができます。
(垂直にドリルを当てられれば大丈夫です。)穴を拡大することによって、新たなねじ山を形成する準備を行います。 - 穴の位置と角度: 穴を開ける位置と角度は、ボルトが固着している箇所によって異なります。正確な位置と角度を把握し、適切な方向で穴を開けることが重要です。
ボルトに余計な負荷や歪みを与えないように注意してください。(センターポンチであたりをつけるとドリルの刃が暴れません) - 進行方向と安定性: 穴を開ける際には、ドリルを安定して進行させることが重要です。ドリルが斜めになったり、ボルトと平行でない方向に進んだりしないように注意しましょう。
適切な進行方向と安定性を確保することで、効果的な穴の広げ作業が可能となります。 - 作業の進め方と確認: 穴を広げる作業は、少しずつ進めながら、ボルトの状態や進行具合を確認することが重要です。
定期的に穴の深さや広がりを確認し、必要な場合は進行具合を調整することができます。進行具合の確認は慎重に行い、ボルトに過度な負荷をかけずに作業を進めましょう。 - 潤滑剤の使用: 穴を広げる際には、潤滑剤を使用することをおすすめします。
潤滑剤を使うことで、摩擦や熱の発生を抑え、作業の効率とボルトの取り外しの成功率を向上させることができます。
お疲れ様でした。ここまでがボルトを壊す作業です。
ドリルの刃のセットがあるとこういう時に便利ですよ。
私は、DIYを始めたころに買ったドリルの刃のセットが便利なので使い続けています。
E-ValueというメーカーのETD-21S-Tというモデルです。開くとすべてが立てられるようになっているので、非常に使い勝手が良いです。折れた刃は個別に買い足してまたこのセットに入れています。
ボルトを入れるための新たにねじ山を作る:タッピングの手順
ここからは、新しいボルトを挿入するための新たなねじ山を作る作業(タッピング)になります。
ここまでくれば、後もう少しですよ!
以下の手順に沿って作業を進めてください!
手順1:折れたボルトのサイズとピッチを調べる
まずは、折れたボルトのサイズとピッチを調べます。折れたボルトをタップダイスセットの丸い方(ダイス)に入れてみて丁度のものを探します。この時に、ダイスにネジ入れてみてボルトがぐらつかないかをしっかりと確認してください。
そうすると、下の写真のようにダイスにサイズが書いてあるようにボルトのサイズとピッチが分かります。今回は、サイズはM8です。そしてピッチは1.25だと分かりました。
写真のボルトは撮影用の新品になります。
手順2:タップハンドルにタップを取り付ける
次にサイズとピッチが同じもののタップ(ねじ山を切る棒状のもの)を探します。そして、タップハンドルにしっかりと取り付けます。
このとき、ぐらつきがないようにタップの頭の◇をタップハンドルでしっかりと挟み込ませます。
手順3:タッピングで新しいねじ山を作っていく
いよいよ、新しいねじ山を作っていく作業になります。
このときの注意点は何かあるの?
一気にねじ山を作ろうとしないことですよ!下の注意点もお読みください。
下にタッピングの際の注意点とコツをまとめておきます。お読みください。
- 穴にタップを垂直に当てます。そして、あたりをしっかりと探して食いつかせてください。
- 右回りにゆっくりと回します。このとき、一気にねじ山を作ろうとしないでください。例えば、1回転したら半回転もどす。2回転したら1回転戻す、というように少しずつ進めていくことで綺麗なねじ山が仕上がります
- さらに、潤滑油を差しながら、タッピングをおこなうとスムーズな作業を行うことができます。
今回使用したタップダイスセットはE-VarueのEV-20TDというモデルになります。値段もそれほど高くはなく、しっかり使えました。
使用頻度は低いですが、ないと作業ができないときがあるという道具です。
手順4:新しいボルトを挿入する
これで、新しいボルトを挿入できます。ボルトを挿入してぐらつきがないかをしっかりと確かめtください。
(ディスクブレーキのディスク部分は塗装用にマスキングテープを巻いたものです。悪しからずご了承ください)
以上が、ボルトが途中でねじ切れた・折れた場合におけるボルトの壊れた部分を取り除き、受け手側のねじ山を再生させる一般的な手順でした。
これで作業はすべて終わりになります。
いろいろな道具を使う作業です。無理のない範囲で行ってください。
ポコも言っておりますように、いろいろな手順を踏みます。ですので、無理をせずに代替手法の検討も視野に入れて作業をするかご判断ください。
作業がうまく進まない場合や、他の場所へのダメージが懸念される場合は、プロフェッショナルなメカニックに相談するか、専門的な道具や技術を使用することを検討してください。
バイクではないですがタッピングを紹介しているYouTube動画のリンクです。参考にされてください。
まとめ
- ボルトが折れたりねじ切れたりすると絶望感を感じますが、ボルトを壊して新しいねじ山を作る方法があります。
- ボルト壊し作業では注意が必要で、ボルトにかかる負荷や穴の位置と角度に注意する必要があります。
- 潤滑剤を使用することで作業の効率と成功率を向上させることができます。
- タッピングの手順では、折れたボルトのサイズとピッチが必ず合うものを使用しましょう。
- 手順に沿って作業を進め、新たなねじ山を形成します。
- ドリルの刃のセットや便利な道具を用意すると作業がスムーズに進みます。
- 作業が難しいと感じられた場合は専門家の方に任せるという決断をするのも選択肢の一つです。
以上、ボルトが途中で折れてしまった場合の新しいボルトを入れるための手順のご紹介でした!最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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